2014年11月5日水曜日

子供の親権(母親と養育費)

夫婦が離婚する際、必ず取り決めておく必要があるのが親権です。親権とは、その名の通り子供(未成年)に対する親の権利の事です。婚姻中の場合は、夫婦両方が親権を持っていますが、離婚する際には、必ず親権者をどちらか一方に決めなければなりません。離婚届には親権者の欄があり、ここを記入しておかなければ受理はされないのです。

一般的に、親権は母親側が持つ事が多いです。幼い子供は母親と接している時間が長いため、この関係を引き剥がすのは好ましくないと考えられているからです。ただし、夫婦間の話し合いで親権者が決められなかった場合は、調停や裁判に委ねられる事もあります。

親権には、大きく分けると身上監護権と財産管理権という2つがあります。身上監護権とは、親が子供と一緒に住んで世話をする権利です。財産管理権とは、子供の財産を管理して、法的な手続きを代理する権利です。つまり、親権を持つ親は子供を育てていく義務と責任を負うという事です。

ですが、親権を持たなかった方の親も、子供を育てなくて良いというわけではありません。一般的には、養育費(子供を育てるために使われる費用)を支払って、間接的に子供を育てる事になります。平均年収400万円のサラリーマンの場合、養育費の相場は月額2~4万円程度です。

養育費の相場と現状

ちなみに、親権を持つ母親が再婚した場合でも、元夫の養育費の支払い義務は無くなりません。再婚したからといって、親子関係が失われるわけではないからです。ただし、再婚相手にも子供の扶養義務が発生するため、養育費の多少の減額が認められる可能性はあります。

なお、養育費は父親だけに課せられた義務ではありません。父親が親権を持った場合は、一緒に暮らしていない母親が養育費を支払う必要があるのです。

養育費の義務と子供との面会の権利


また、親権を持たなかった親でも、子供には会いたいと考えるのが普通です。親権者ではない親が、子供に会って一緒に過ごす(面会)ための権利を、面接交渉権と言います。面接交渉権は法律で決められたものではありませんが、過去の判例などから、ある程度の面会が認められるケースが多いので、事実上、親権を持たない親が持つ権利だとも言えます。離婚前には、予め具体的な面接交渉権を決めておく事が望ましいです(回数、時間、宿泊、手紙やプレゼントの受け渡し、連絡方法など)。

下のグラフは、厚生労働省が調査した「平成23年度全国母子世帯等調査結果報告」のデータです。7割以上のシングルマザーが、元夫が子供に面会する事に対して、何の取り決めもしていないのが現状なようです。


ただし、面接交渉権は子供の利益と福祉のために存在します。ですから、子供に悪影響があると考えられれば、面会が認められないケースもあります。子供を虐待する恐れがある場合や、養育費を支払わない(子供を育てる気が無い)といった場合が該当します。勝手に子供に会おうとした場合には、親権者は家庭裁判所に面接交渉権の停止を申し立てる事も可能です。